無料ブログはココログ

映画・テレビ

2017年9月22日 (金)

映画『ボンジュール、アン』感想

映画『ボンジュール、アン』を見てきた。

子供が独立したくらいの年齢のアメリカ人の奥さんがフランスをドライブして気持ちが解放される話、というそのくらいの頼りない予備知識だけで、「ロードムービー好きだし」「私も気持ちが解放されたい奥さんだし」という理由で見てきた。

大物映画プロデューサーの妻アンが、仕事が忙しい夫とは別行動になってフランスのカンヌからパリまで、夫の仕事仲間のフランス人男性の車で移動することになる。

ところが一日でパリに着く予定が、このフランス人男性ジャックが寄り道ばっかりで、いつまでたってもパリには到着しない。

ジャックは途中でかごいっぱいのイチゴを買ってきたり、美味しいレストランやらローマ時代の遺跡に寄ったりいつの間にか宿を予約していたり後部座席いっぱいのバラを買ってきたり、とにかくひたすらアンをおもてなししている。

映画が、フランスの観光案内の映画のよう・・・

ちょっと!一日でパリに着くはずでしょ?というアメリカ人に対して「楽しまなきゃ~」というフランス人。

これは、アメリカ人のフランスコンプレックスの映画なのか?人生を楽しまないアメリカ人と、美味しいもの美しいものを楽しみ、常にゆとりの中にいるフランス人。

それで結局アンがその状況を楽しんでいるんだか困っているんだかよくわからないまま話は進み、最後に笑顔で「まあ楽しかったわね」という感じで終わった。

えっそれだけ・・・?

というのが正直な最初の感想だった。

「フランスっていいよね!アメリカ人も見習おうね!」という映画なのか・・・?

ところが!帰ってきてから改めて映画について調べてみて、感想が180度変わったのだった。

監督はエレノア・コッポラ。

あのコッポラの娘さん・・・?と思ったら奥さんだった。80歳にして映画監督デビューとのこと。(娘さんも映画監督やっているらしいんだけど)

映画界の巨匠である夫を陰で長年支えてきた妻が、「妻にだって楽しいことがあるのよ」と、仕事仕事で妻をほったらかしにした夫に、ちょっとした仕返しのような映画を作ったみたいだ。実際、自分の体験がもとになっているらしい。

(アメリカ人が憧れるであろう)フランスの美食に観光。遊び上手な大人のフランス人男性が自分のことを美しいと言って全力でもてなし、さりげなく好意を寄せているようなアピールもしてくる。

「ほらっ!いいでしょ!」と奥さん旦那さんに自慢したくなるよねー?

そして不倫にもなりそうでなってない。倫理的にも問題なし。いいことしかないではありませんか。

アメリカなんて奥さんも強そうだなーと思ってたけど、そんなことないのだなと思った。

妻は子育て頑張ってて、夫は仕事ばかりで奥さんほったらかし、妻は自分の人生を生きたという実感がない。そんな妻が子育てを終えたとき、自分を大切にしてもらえるという経験をして、心がふっと緩む。いいですねえ。

夫が見もしないアンの撮った写真を、ジャックは「細部をよく見てますね」と褒めてくれた。アンは、きっとこれから自分が大好きな、布地や刺しゅう、写真で自分を表現していくのだろう。

「自分は楽しんでいいのだ」ということを知るということは素晴らしいことだよね。人生を楽しむ達人は、楽しんでない人にどんどん楽しみ方を教えてあげるといいよね。

ちなみに原題は「Paris can wait」

「パリは逃げませんから」って感じかな?